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イマイのコラム
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軽減税率
2014/12/15
消費税の10%への増税が引き延ばしになるようです。全世界に対する日本の公約だから延長や撤廃はできないだろうと言われていたため、延長には驚きました。そのために日本の国債の格付けが低くなったようですが、日本の国債の引受先のうち外国人投資家の比率は低いようですので、問題はないのでしょう。

増税論議に出てくるのが、軽減税率の問題です。本来ならば、複数税率と呼ぶのが正しいのですが、政治家としては軽減税率といった方が「勝ち取った」感が出てくるので、そう呼ぶのだと思います。こういった言葉の使い方に惑わされないようにしなければなりません。

複数税率の問題点は、線引きが難しい事にあります。例えば、トウモロコシを出荷した場合、人が食べれば食品ですが豚のエサになるのであれば飼料という事になります。豚そのものは食品ではありませんが、肉にして店頭に並んだ時点で食品となります。どこかの時点で食品が非食品に、あるいは非食品が食品に変化する事になります。どの業種がどの税率を使うのかが、非常に難しい事となります。

又、ドイツでは、マクドナルドで食事をすると「レストランでの食事」という事で高い税率になりますが、持ち帰ると「総菜を家で食べる」事になるので低い税率になるそうです。お客さんは持ち帰ると言いながら、その場で袋を開けて食べてしまいます。そのため、マクドナルドでは店内飲食用と持ち帰り用で値段を統一しているとの事…税込価格を同じにして、本体価格に差をつけているようです。結果、複数税率を導入しても消費者にとっては「軽減」になっていないようです。

同じような事が日本でもあります。お医者さんに処方してもらう薬には消費税がかかりません。非課税となっています。しかしながら、薬屋さんが仕入れる薬には消費税がかかっています。消費税がアップする事により、薬屋さんの利益が減ってしまう事になりますので、売値(薬価)を改訂する事により利益減少を食い止めました。結果、消費税が非課税である処方薬でも、税率アップにより消費者の負担は大きくなりました。(そうでないと、薬屋さんが大変な事になってしまいます。)

そのような状況を考えると、複数税率を導入する事によって負担が「軽減」される事になるのか、甚だ疑問です。