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西田議員のひめゆりの塔についての発言
2025/5/12
「そういう認識ができるのか!」と驚きました。自民党の西田参議院議員が「ひめゆりの塔」の展示内容について「歴史の書き換え」と発言したことです。

5月8日付けの朝日新聞朝刊によると、西田氏が那覇市内で講演した際「今はどうか知らないが、ひどい。日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆりの隊が死ぬことになっちゃった。そして、アメリカが入ってきて沖縄が解放された。そういう文脈で(説明を)書いている」と発言したとのことです。

学生時代、沖縄を訪れ戦跡を訪ね「ひめゆり平和祈念資料館」も見学をしました。その際には「語り部」の話も聞くことができ、たくさんの手記を読むこともできました。本当は思い出したくもない悲惨な経験を、次の世代には同じ思いをすることがないようにという思いで、私たちに伝えてくれていると感じることができました。

体験したことがないことは語ることができないと思っていましたが、体験したことがないからこそ冷静に判断し、検証することができ、それを伝えることができるのではないかと思いを改めた体験でした。

同じものを見聞しても、「日本軍によってひめゆり部隊が死ぬことになり、アメリカによって沖縄が解放された」という文脈で捉える人がいることに、単純に驚きました。

その考え方のもとになる事実も確かにあります。「集団自決」と呼ばれる民間人の自死ですが、日本軍のいない壕(ガマ)では集団自決はなく、集団のリーダーが米軍への投降を呼びかけることによって生き残った人々もたくさんいたとのことです。

そもそも、「集団自決」のための手榴弾などは日本軍が渡しているものです。「生きて虜囚の辱めを受けず」との考え方を広め、「鬼畜米英」に捕らえられると辱めを受けて殺されるという考え方は、国際的な捕虜条約を無視し、日本軍が朝鮮・中国・東南アジアの人々にしてきた経験によって、自らも同じことをされるという恐怖からのものであったのではないかと私は考えます。

そうなると、沖縄の民間人からすると「日本軍は民間人を守るために存在しているのか」という疑問が生じてしまうでしょう。本土決戦の時間稼ぎのために、沖縄は蹂躙されたとも思えます。

では、米軍によって沖縄は解放されたのかと考えると…戦後27年間という長い年数を占領下におかれ、現在も米軍基地が街を占拠し、米軍兵による数々の事件を顧みると、「解放」とは程遠い現状です。

そのように考えると、何が歴史の事実であるのか、誰がどう歴史を書き換えようとしているのか…これは歴史認識の問題であり、現状認識の問題であると思います。

「自分たちが納得できる歴史を作らないと」との発言もあったようですが、歴史事実をどのように認識し、解釈するのかということは、いろいろな人の考え方を吸収した上での作業です。国民の代表として選ばれる国会議員であるから、たくさんの人の声を聞き、自分の意見を確立し、「そのような意見も理解できるが、私はこう考える」という見解を表明して欲しいと思います。