ティータックの税務サービス 会社紹介 お客様の声 税務豆知識 よくあるご質問 お問い合わせ `トップページに戻る
 
  1. トップページ
  2. イマイのコラム 2021
  3. 法人税率の国際ルール
イマイのコラム
イマイのコラム
法人税率の国際ルール
2021/6/7
G7(主要7カ国財務相会合)が、国際課税の新ルールで法人税率を15%以上にすることを共同声明に明記したとの新聞報道がありました。

世界中で商売を行っている企業の場合、本社機能をどこに置くかによって法人税の負担額が変わってきます。経営者の考えでは、少しでも法人税が安い国に移りたいと思うでしょう。国としても、企業に逃げられるよりは法人税率を下げてでもとどまって欲しいと思うはずです。あるいは、他の国より法人税率を低くすることによって、企業を呼び込むことができるようにもなります。いわば「薄利多売の税制」の導入です。

こうなると、各国の法人税率がどんどん下がっていってしまいます。どこかで歯止めを効かさないと、各国の財政が大変になります。そのため米国が最低税率を提唱し、それにみんなが賛成して「法人税率15%以上」と決まった形です。

上記の理由から考えて、財政の健全性を鑑みると、各国で税率の調整を行うことは正しい選択だと思います。しかしながら、自由経済を提唱する西側各国が税率の調整を行っても良いのでしょうか?例えば、日本の携帯電話大手4社が最低月額利用料を取り決めたとすると独占禁止法のカルテルに該当してしまいますが、これと同じことを財務大臣が取り決めたことにはならないでしょうか?…何か腑に落ちない部分があります。

日本の場合、法人税は大企業と中小企業で税率が違います。大会社で言えば現行23.2%ですが、これを15%以上に合わせて「下げる」ことになるのでしょうか?さらに日本の場合には、法人税だけでなく地方法人税という国税や、県民税・市民税と、法人の利益に対する税金だけでも4種類の納付書があります。(県民税には事業税と法人県民税があり、さらに法人県民税には所得割と均等割があり、事業税には特別法人事業税と地方法人特別税があります。)

法人税を計算するにあたって、設備投資や給与の増加額によっては税額控除の適用を受けたりすることができます。法人税法だけでなく、租税特別措置法という法律によって計算しなければなりません。

私としては税率を下げたり上げたりということより、もっとシンプルな税制を希望します。極端なことを言えば…「国へ申告と納税を行えば、県や市へ配分される」ようにすれば、申告業務も納税業務も減らせますし、国や地方公共団体の業務も減らせるはずです。社会全体の合理化を図るためにも、シンプルな税制にしてほしいものです。